代官山のマンションの一室。お洒落な雰囲気に気圧される。言葉だけ聞いても気後れする、そんな空間にお邪魔しなければならない。
だから今日は一張羅のシンプルTシャツに先週買ったばかりのジョガーパンツを合わせて来たのだ。ちょっと暑くて、ハーフパンツにしようとする所をぐっと我慢して、お洒落してきたのだ。
場所はGoogleMapが明確に指している。でも入り口が分からない。
この小洒落エリア代官山、中目黒界隈ではよくあること。裏口のビルの小脇のそのまた小道。そんなところにお洒落スポットは点在しているのだ。
こちとらそれを見越して20分も前についてるんだ。とか言いながら、迷った末、結局時間ぎりぎりつつ入り口を発見。隣のビルだったか。
内気な好奇心旺盛の成れの果て
本当にマンションのような作りだ。とは言ってもそこは高級マンション。私の住む年代モノのマンションとは格が違う。本当にここでその宴が催されるというのか。
エレベーターで対象フロアに下りると、ガラス張りの重厚なドアのそこにインターホンがある。どんだけお洒落なんだ。
押すのを待たずして、すぐにそれと分かる人が受付をしてる。どうやらこのフロアでは今回対象の宴しかやっていない模様。みんな笑顔で迎えてくれる。こちらの緊張も少しは和らぐ。更に奥にある重そうな扉をあけると、既に20人はいるだろうか。楽しげに談笑している。
あぁ気後れする。
こんなところに来といて何だが、社交的なこういうパーティーは苦手だ。知らない人と話せないほどの人見知りではないけど、たまに無性に孤独になるたくなったりもする。人に無駄に合わせるのが嫌いで、例えそれが友人であっても一人を選ぶときもある。
しかも今日は始めての参加で誰も知り合いはいない。
言うほど派手なパーティーではなく、ちょっとした親睦会という感じではあるのだけど、だからこそ仲間意識みたいなものが垣間見える。
とはいえ、こんなところでスマホを取り出していじって開始を待つなんて愚の骨頂。とりあえず所在無くぼーっとしてみる。
どうやら後ろの人も始めて同士らしいが、出遅れた。今から会話に入るのは微妙な雰囲気。
立食パーティーという魔物
パーティー開始。各々食事、飲み物を取り、しばし談笑。
しばし談笑ってなんやねん、と関西人風突込みを入れたくもなる。
程なくして、マイパートナー(タダの話し相手)を見つける。5分後、去っていく。
またネクストパートナー(ただの話し相手2号)を見つける。5分後、また去っていく。
そしてアナザーパートナー。この人はちょっと面白い。話も盛り上がる。でもまた去っていく。
こんなのを何度繰り返さないといけないのか。
とりあえず飯はうまい。
そうしてふと気付く。
みんな頑張っているんだ。
会話の合間合間にボーっと所在無くしている人。次の話し相手を物色する人。次から次へとテンション高く話しかける人。とにかく食と飲みに力を注ぐ人。
みんな一緒なんだ。
だったら尚更このシステムはどうなんだって気もする。運営は楽なんだろうというのは理解できるが。誰かもっと画期的なシステムを考えてくれ。
とりあえず立食パーティーは疲れるというのが、みんなの共通認識。
意識高い系に潜む無意識高い系
最後に主催者の方のお話。
この方は非常に素晴らしい生き方をされていて、和やかな雰囲気でなかなかよろしい。
ただそれに感動するってことはない。
私の感動はそんなに安くない。
それでも全体的な空気はこの方の一挙手一投足を逃すまいとしている。
このオーラ。意識高い系オーラとでも言おうか。完全に私は取り残されている。
どうやら世の中のテンションからは10度ぐらい低めに私のそれは設定されているらしい。
10年前だったら、この気持ちをごまかすことも出来たんだけど、最近は無理、というより面倒。
これは性格なのか、はたまた年齢によるものなのか。
それでもここで生きていく
それでも意識高い系として、意識高くあるべく、若手に混じって何が起きるかみてみたい。
そんな気がしている。
ということで、もう少しだけ様子を見るか。
疲れるけど、面倒だけど、そんなん言ったら人生そのものが面倒なことの繰り返しな訳で。
とりあえずお洒落なTシャツでも買いに行くかな。
わっしょい