やたらと上司が論理的に説明をしているらしい。
らしいというのは本人がそう言うので、まあ、そうかなと思わないでも無い。それに論理的とはいっても、別にたいした話じゃなくて、「1+2は3だろ?」ぐらいの話をしているだけだから、そこには議論の余地は無い。
ただ、問題はそれで周りが動かないこと。どうやら自分は論理的なことしか言っていない、していないのに、論理的に動かない状況が腹立たしいらしい。
この時点で論理的に話すことが何の解決にもならないことを学ぶ必要があるんだけど、なまじ自らが優秀な上司はその辺が理解できない様子。
本当に彼がすべきは、論理的に説明することではなくて、自分の考えるロジックと現実が剥離していることをまずは受け入れることだと思うんだけど。
論理的な話で人を説得するのは土台無理
論理的な話は、議論の土台にこそなるけど、それで人を納得などできないことにいい加減気づいた方がいい。
というかそもそも論理的な話ってなんやねん、というところに疑問を持つべき。ということで早速ググル。最初のページに共感の記事。
「その人個人の理屈としてはこうなる」と論じること。
理論と違って物理法則などの絶対的な基準ではなく、あくまで個人的な基準を元にした判断への説明です。《あの店はいつも混んでいる⇒あの店は美味しいに違いない!》
《今までこのやり方で失敗していない⇒これからも同じやり方で大丈夫!》
このような大雑把な認識も、自分の中で筋が通ってさえいれば立派な個人の理屈になります。
賛成です。
厳密な言葉の定義はしりませんが、会話の中で「論理的に説明して」というものの意味するところは、「筋道立てて、私にもわかりやすいように説明して」ということでしょう。
だからそれ自体があっているかどうかは問題じゃない。単に個人の理屈に過ぎない。
上の例で言えば、「店が混んでいる→料理がおいしい」はそういう解釈ができるだけで正解かどうかはわからない。
もしかしたら他の人は「店が混んでいる→オペレーションが悪い」という説明をするかもしれない。
別にどちらが合っているではなく、その解釈に至った経緯を説明しているだけ。それを説明されたら、第三者はXXの観点が抜けているよ、とか指摘できる。
論理性は主張するものではなくて、使う道具
ということで、いくら個人が俺の、私の話は論理的である、えっへん。と言ったところで何の意味も無い。
その説明が相手に伝わらなければ意味はないと思うんです。
そして、相手はその理屈をわかった上で動かないのであれば、別の見落としている現実があるはずだから、次に進む、そして何かを改善するチャンスのはずなんです。
ロジカルシンキングの功罪
一時期流行って、そしていまやロジカルシンキングは市民権を得て、サラリーマンの間に広まっています。
でもこれが栄えることでロジカルモンスターを生んでしまいました。ロジカルなことはよいこと、ロジカルなことは正しいこと、と。
でもロジカルなことは単にわかりやすいのであって、言いも悪いも無いはずなんです。
ロジカルなことはみんなで共通認識を持ちやすいので、それをスタート地点にしましょうね、ってそれだけ。
それを笠に着て、自分の正しさを主張しても、組織としては何も成長しません。相手を論破したいだけなら組織にいる必要はありません。
サラリーマンの役割とは?
これは職種に限らず、自営業でもいいと思いますが、働くことの意味って理想と現実のギャップを埋めていくことだと思うんです。
だからサラリーマンはそこにある問題をただ解決していくんです。
売り上げたいけど、売り上げられないから工夫して、その数字を分析して。
やってほしいけど、やってくれないから説明して。わかってもらえないから論理的な説明に工夫して。
ただそれだけ。
全部自分の思う論理で仕事が回ったら我々なんて当の昔に淘汰されてます。
管理職の役割とは?
管理職とか上の方の役割って、その問題が表面的なものなのか、組織的なものなのかを判断して、目標を定めて、目的を定めて、それに向けて働く場、環境自体を整えていくことだと思うんです。
別に売り上げ、利益を増やすのは現場がするんであって、それ自体には管理職は何もできない。土壌さえあればあとは勝手にやっていきます。
それをAしたらBみたいに物事が進むという短絡的な考えは危険です。
最後に
結局働くのも、働かせるのも人です。
論理で動かない人間の、その背後にあるものをきちんと理解する必要があります。
具体的な理由があるのかもしれないし、単に面倒なだけかもしれない。面倒ってことは優先度が人によって違うわけで、そこには組織としての改善点があるんです。
よく人、モノ、金が大事って言いますが、大体みんな見ているのは金。
もう少しヒトをみる世の中であってほしい。
わっしょい
おすすめ本
スキルとして、論理的に考える、書くということを身に着けておきたい。前に読んだけど、もう一度読み返してみますかな。