おすすめ本:笑いのカイブツ/27歳、童貞、無職。人間関係不得意。

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笑いのカイブツ。

たまたまKindle Unlimitedのラインナップに入っていて、評価もそこそこだったので、何となくダウンロードした作品。

最近はAmazon評価が高くても、自分の感覚が世間のそれとズレているのか、以前ほど共感できることが少なくなった気がしてそこまで期待はしなかったんだけど。

ただそこには正にカイブツがいた。

フィクション?ノンフィクション?

さて笑いのカイブツ(なんか言いたくなる)。

上述の通り全くの事前知識無しで読み始めた。

いつもはレビューの内容にも目を通すので、それなりに背景を把握した上で読み進めるのだけど、今回はUnlimited作品ということもあり、大した期待もなく、移動の際の慰みモノぐらいの気持ちで読み始めてしまった。

不覚。なんじゃこれ。

小説ではあるので、別にその舞台が宇宙だろうが、ファンタジーの世界だろうが驚きもしない。

ただ舞台はほぼ大阪。なのに途中で「これ、小説(空想)だよな?」と振り返り、「もしかしてノンフィクション?」と思いはじめる。

実際にはというか、やはりノンフィクション?というか私小説であるのだけど、この小説の主人公(著者)、ツチヤタカユキという人物、それほどぶっ飛んでる。

 小説というより深夜枠ドキュメンタリー

正直小説としての完成度は低いような気もした。時間軸がポンポン行ったりきたりして、読み辛さを覚える。同じような感情の描写が繰り返され、食傷気味にもなる。

ただ良い悪いではなくて、この人はこういう生き方、思考回路なんだからしょうがないとも思える。

確かにAmazonレビューではやたらと評価が低い人もいたなと思い返す。わかる。

そういえば深夜とか、日曜の昼下がりに見たドキュメンタリー番組に近いものがあるかもしれない。社会の闇を見せてくれる、そんな自分の知らない世界を見せてくれる番組たち。

ただこの作品はあんなに綺麗に編集されてないはいないけどね。

ツチヤタカユキというぶっ飛び方

この小説を地でやっている人がこの世の中にいるというのだから世界は広い。

さて詳細は中身を見てもらいたいが、このツチヤタカユキという人、社会で必要とされること、時間を守る、挨拶をするとか、そういった類のことはほぼ出来ない。しないわけではないが、合格点は取れていない方のこれまでの歴史。

とはいってもこの方まだ27か28歳ぐらい。

コミュ力ゼロのホスト

そんなコミュ力ゼロのこの方、数多のアルバイトに挑戦する。引きこもりというわけでないのだ。

しかも何故かどう考えてもむかなそうな職業ばかり。あらゆる接客業から始まり、なぜか土方まで経験する。本人を知らないがどう考えても体力があるはずはない。

しかも終いにはなぜかホストにもなっている。コミュニケーション能力が皆無なのに、だ。酒にも大して強くないのに、だ。

なんでだ。狂ってる。

震える学生時代

学生時代も友人はゼロで、普通の人が労力を取られるそういったことへのエネルギーを全てお笑いにつぎ込んでいる。

誰とも話さず。兎に角お笑いのことだけを考えて。

学生時代から20代のそのほとんどの時間をケータイ大喜利とラジオ番組への投稿で過ごすという異色というか、異常で、狂気に満ちた人生。

こういう人は日本全体ではにそれなりにはいるんだろうか。

不思議だ。

お笑い芸人オードリーの関係

本を読み終わってすぐにこの人物のことをググッてみる。

どうやらというかやはり実在の人物。そして今もどこかで人生に思い悩みながら生と死の間を行き来している。

さて作品の中では何組かお笑い芸人がでてくるが、名前が伏せられていたので誰だかわからなかったが、そのうちの一組はどうやらオードリーであることが分かった。

オードリーでは若林氏がネタ作りを担当していて、その構成作家見習いとしてネタ作りのサポートをしているらしい。

Youtubeにラジオ番組がアップされており二人の逸話が何本か紹介されていた。

オードリー若林からみたツチヤタカユキ

大体エピソードは書籍の中のツチヤ氏どおりぶっ飛んでいる。ただ多少人間らしい話もあり、それなりには人生を生きているだと安心する(なぜか彼の人生を心配しているという不思議)。

それにしても若林氏の話では、このツチヤタカユキという思考が少なからず理解できるというか、自分も昔は似たように尖っていた所があったという。まぁ100%同じではないけど。

やっぱり芸人になるなんて、それなりにどっかのネジがぶっとんでないといけないのか。

そりゃそうだよなと思いつつ、なんかたまに世間をわかったような気になる自分がいかに小さいかを思い知らされる。良い年してたってまだまだチビスケだ。

突き抜ける才能。

作品の中にこのツチヤタカユキ氏のことを羨ましいというピンク頭の青年?が出てくる。このピンク頭の彼はそれだけ何かにのめりこんで、人生つぎ込めることがないから。

確かに。

このツチヤタカユキ氏はコミュ力はないが、自分の社会性の無さは認識しており、そんな部分に負い目というか、コンプレックスを抱えている。

それでもこれだけ何かに人生を賭けられる人はいない。

確かに羨ましい。自分にはない。

どう考えてもそれは何かを犠牲にはしているけどね。

それでも一瞬でも、ある一定期間でもそれが出来る、そんな人生もありだな。

わっしょい


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