ご無沙汰してしまった。色々ありまして。
まぁ人間誰しも色々あるけどね。物理的に忙しかったり、心の中がざわざわしてたり。その両方だったり。どちらかというと心の中のざわざわが、、、。
まぁその辺はまた今度。
さて、またまたAudible作品のご紹介。今回は渾身の作品。ここでこれを放り込んでくるAmazonは偉大。やるなジェフベゾス(コンテンツの一つ一つ、しかも日本の作品なんて知りもしないだろうけど)
「空飛ぶタイヤ」池井戸潤
あの半沢直樹の原作者が書いた作品。私が初めて池井戸作品を読んだのはこの作品だった気がする。その作品がAudibleで聴けるとは良い時代になったもんです。
流石にAudibleが何であるかはもう説明するのが面倒なんでググっていただくか、過去記事を参照してもらいましょう。要は本を聴くってこと。
池井戸作品については改めて説明の必要がないぐらいに世の中に浸透しているようだから、これまた説明の必要もないと思うけど。”よう”っていうのは、私がテレビを見ないもので、半沢直樹も見てないし、下町ロケットも見てないからなんだけど、まぁ話題になっていたことぐらいは知ってます。
もちろん原作は読んでるけどね。
空飛ぶタイヤ あらすじ
2004年に実際にあった三菱自動車のリコール隠しを題材にしている。
作品中では”三菱”財閥をホープ”財閥”という名に変えているけど、銀行、商事なども登場し、明らかに三菱が元ネタだとわかるようになっている。確かエンブレムも”3つのオーバル”とかっていう表現がされていたと思う。
話は主に問題の車を使っていた運送会社社長を主人公にして話が進む。
リコール隠しのために、実際には使用者側の整備不良を理由にされていたために、死亡事故の加害者となってしまった運送会社。
その誠実で実直な対応に胸が熱くなるんだなー。これで熱くならない人間がいるのか。
それをホープ自動車内部から、融資を担当するホープ銀行、さらには運送会社も経営的に行き詰まったり、家庭でのゴタゴタとかあったり。
もうね、人間ってのはこんな状況でもPTAの仕事なんてやっていられるのかと思うけど、、、まぁそのへんは実際に読んでください。
とりあえず息つく暇もなく話がすすむわけです。
とにかく面白いけど、世の中にこんな奴らがいると思うと、腹たってくるというか、怖くなるというか。人間ってのは恐ろしい生き物ってことがわかります。
Audibleで”聴く”空飛ぶタイヤの真価
作品は文句なしに面白い。
そしてそれをAudibleで聴くということの重要さを強調したい。まずどうしても本だと読み飛ばしてしまう部分がある。
人って言うのは(特に自分の場合)一文字一文字をきちんと追ってなどいない。ある程度分かっている内容とか、逆に盛り上がってきて読み急いでしまうと、ちょっとした表現なんかを置き去りにしてしまう。
それが聴くということに関しては結構しっかりと一言一句を捉えることができる。というより聴くという行為は姿勢としては”受け身”なので、”読む”という行為に比べると情報のインプットが楽なんだろうね。
きちんと朗読者の方が、ぐっと気持ち入れてくれるから、自分で気持ち入れる必要もなく、話に没入できる。しかも私はイヤホンで聞いているから、嫌でも自分だけの世界に浸れるんです。
Audibleで聴くことのデメリット
もちろんデメリットだってあるんだけど。
まずはぼーっとしていると聞き逃す。一言一句を捉える!とか言いながら矛盾しているようだけど、他の作業をしていたりすると、読み飛ばすどころか、一気に話が飛んでいることがある。
加えて音声だと、文字から得られる情報が得られないという難しさもある。
例えば難しい漢字とか、読みが複数あるもの、あとはそもそも自分の知らない単語とか。人の名前も音でしか覚えられないので、読むのと比べるとやや頭に残らない印象もある。
例えば”タナカ”さんって言われれば、人はすぐに田中さんを思いつくけど、ユウキさんって言われたら、あれ名字かな?下の名前かな?とか、漢字は?とかってなると思う。
ちょっと人間関係の構図がややこしかったり、たまにしか出てこない登場人物とかいると混乱する。
まぁそんなんも、メリットに比べたら小さい、小さい問題です。特にこの作品はそこまで難しい漢字はないしね。
企業体質の本質がここに描かれている
これは三菱自動車のリコール隠しという実話を元にしている。もちろん作品のために、だいぶ脚色はされているだろうし、盛り上げているところもある。
とはいえ、組織人間の怖さみたいのがそこかしこに描かれていて、普段はルールとか、モラルの中でなんとか人として対応しているけど、サラリーマンとしては当たり前だけど、人としては腐っている対応あるよなーとか思ったりする。
しかもちょっとWikipediaで実際の事件のあらましを見てみたけど、被害者を担当した弁護士が悪徳で報酬をがめつく搾取しようとしたとかで、事件後に弁護士会から懲戒処分受けているとか、ホント被害者にしてみたら泣きっ面に蜂。
池井戸作品はやっぱり最後はハッピーエンドっていう水戸黄門的な安心感があるからいいけど、実際は救いようのない事件も我々の世界にはあるんですな。
最後に
なんで今このタイミングでこの大作をAudibleで?と思ったら、映画が公開されるんですな。そのための宣伝か。
宣伝だろうが、なんだろうが、この作品が面白いことには疑いがないから私にとってはAudibleユーザーとしての役得。
それに絶対にAudibleのほうが面白い、、、はず。映画は見てないけどね。