「ベトナム人は信用できない」
同僚の一言。
この方はベトナム事業の責任者であり、ベトナム在住3年ほど。シンガポールにいたこともあり、他のアジア圏の国での経験もある。
その方の一言だ。それなりの重みがある。重みがあるのだけど、うんうんと頷けない部分もある。
先進国の、日本のやり方が必ずしも正しくはないと知ること
明らかに現地特有の習慣とか、文化だったら我々は受け入れる。
例えばムスリムがお祈りするのに作業を中断するとか、中国では旧正月を祝うとか(ベトナムも旧正月だ)。欧米人はお辞儀ではなく握手するとか。
結構当たり前に受け入れている外人だからそうだよねとなる習慣、文化というのは色々あるし、握手などは普通に日本でも普通にする。
文化とか高尚なものだけを受け入れるのか。
でも本当の違いはそんな高尚なものじゃない。考え方、見落としがちな生活習慣の中にこそ国民性が出てくるはず。
ただそれは往々にして、日本人の絶対水準では”ダメ”とされてしまうものなんだけど。
例えば時間に対する考え方。5分10分は遅刻じゃない。1時間遅れても悪いとは思わない大らかさ。雨だと勝手に休んだり。
さらに自分に都合が悪いとすぐに嘘をついたり、嘘がばれても謝りもせずに開き直ったり。
日本にもそういう時代はあった
ベトナムだって、10年、20年したら変わると思うし、年代、エリアなど、特定の人達に絞れば既に先進国並みにきちんとしている人もいる。
でもマジョリティとしては考え方、感じ方がそもそも違う。
だったらこういうのもある意味では文化というか、その国の在り様として受け入れていかないといけないんじゃないの。
そもそも人間ってそんなに理屈で動く動物じゃないよねってところをもう少し理解していたい。
私の感じたベトナムという国
実は私もベトナムに関しては多少の経験がある。
駐在経験とまではいかないが、長期、短期出張を何度か経験し、ベトナム人の同僚と共に仕事をしていたこともあった。
その観点から言えば、ベトナム人とは比較的仕事がし易いという感覚。というよりベトナム人の人柄は朗らかで憎めない。
もちろん腹が立つ奴もいるけど、それはどこの国でも同じこと。
ベトナムだって多様なんだ。
ただベトナムだって広い。
私が主に仕事をしていたのはホーチミン、つまりベトナム南部。この方が主に拠点を置くのは北部。一般的に南部と北部は仲が悪いし、性格も異なる。
ベトナム戦争で国が南北に分断され、ソ連アメリカの代理戦争の舞台にされた歴史はそう遠くない。南北に分かれて戦ったのだから、しこりが残っていても不思議じゃない。
ベトナムって国は長いよ
まぁベトナム戦争を例に取るまでもなく、日本の東西南北の違いをみるだけでも、やはり地域の特性というのは不思議なもので、一つに国で括ってよいのかと思うほどの違いがある。
実際に北部は閉鎖的、南部は開放的という、日本の関東vs関西のような構図があって、南部の人は北部の方面をあまり好まないし、自分達のエリアに誇りを持っている。(そういえば北部の人の南部評は聞いたことないな)
もちろんこれが全てじゃないし、例外なんて沢山あるけど、この方が「信用ならない」と言い、私が仕事し易いと感じるのはこの辺にも原因があるのかもしれない。
仕事の辞め方に見るお国柄
さて「信用ならない」の言葉をもう少し紐解く。
信用ならないのは怠ける、時間/約束を守らないなど様々な理由があるからなのだけど、今回のそれはベトナム人はすぐに仕事を辞めるっていうこと。
そして何年も丁寧に仕事を教えて、日本語を学ぶ機会もあげて、そして辞めるという。それ自体は残念だけどしょうがない。ただその辞め方がいけてない。
挨拶もなくある日突然会社に来ないのだ。他のスタッフに聞くと他社に移っていくという。 一応その後の事務手続きもあるので多少のコンタクトをする場合もあるようだけど、
ある日突然さようなら。
正しい仕事の辞め方in日本
確かに日本でこれやったら非難轟々。同情の余地はない。
日本であれば少なくとも仕事辞めるんであれば挨拶、というか事前に連絡する。
1ヶ月以上前にまずは直属の上司に。その後更に上の方がいればその方へ。人事に話す場合もあるか。
それが受け入れられれば、具体的な引継ぎ事項とか、最終出社日はいつにするとか。その過程でもしかしたら予定よりも長めに働くかもしれないし、下手すると次の働く先にまで調整を余儀なくされるかもしれない。
でもこの辞め方が本当に正しいのか。
さすがに長く日本人やっているので、私も自分の部下にいきなり辞められたら嫌だと感じるけど、だからといってそのやり方が正しいというわけではないような気もする。
最初から辞める前提で、もしくは皆複数の職場を掛け持っているような前提で働いていれば、そもそもこんな仰々しい退職の手続きはいらないのではと思ったりもする。