どうもTarfです。
素晴らしい作品は紹介せずにはいられない。是非皆様にもこの感動を味わって頂くべくご紹介いたします。
ちなみに私は本は以前に読んでいましたが、今回Audible(オーディオブック)で聴きました。これが大当たりでした。本作品については、読むより、聴くほうが面白いんじゃないかと思います。
家康、江戸を建てる
[あらすじ]
あの江戸時代の構築、徳川幕府の成り立ちを、文化、芸術、習慣というアプリケーションという観点ではなく、街づくり、国づくりというインフラ、ハード構築の観点から描いています。
そのため武将も話の流れ上出てはきますが、メインは当時の文官、今で言う技術者、親方たちにスポットライトが当てられています。言うなればNHKプロフェッショナル、どっちかって言うとプロジェクトXみたいな感じでしょうか。
そしてこの作品、舞台は江戸、つまり現在の東京に当たるわけです。小説のような書きっぷりでありながら、随所で「この場所が現在の水道橋」「日本橋」であるとかの説明が入りますので、自分の知っている地名と結びつきます。
逆を言えば東京になじみが無い人は面白さ半減なわけですが、それでも世界的にも有名なあの江戸幕府の礎をこのように作ったのかと思うと、当時の苦労に思いを馳せずにはいられません。
第一章:川を曲げる
最初の章は始めにして、最大の難工事、利根川を曲げるという偉業です。詳細は読んでいただきたくありますが、当時の技術を考えると壮大で、よくそんな事業を始めることが出来たと思います。
第二章:貨幣を作る
貨幣はいつの世も、国を統治する上で最重要課題となるのです。とは言え、まだ今ほどは経済の重要性が理解されていなかった時代。
家康の先見の明はどこまで働いていたんだと驚くばかりです。
第三章:飲み水を確保する
昔、吉祥寺、三鷹のあたりに住んでいたことがあります。井の頭公園、今となっては花見スポットでちょっと有名なただの公園ですが、全ては繋がっているんです。
第四章:石垣をつくる
たかが石、されど石。男のロマンがそこにあります。
第五章:天守閣を作る
どこまで本当かわかりませんが、天守閣の意味、またそれが現在に至るまで、日本人の建物に対する美意識にどのように影響したかという記述には震えるものがあります。
残念ながら現在は江戸城天守閣を拝むことは出来ませんが、日本の建築はもっと日本らしさを押し出しても良い気がします。
観光立国を目指すのであれば、例えばカジノも建物は旅館風の造りにして、ルーレット、ポーカーだけではなく、花札、丁半博打のようなものを取り入れたりしたら面白いのではないかと思ったり。
徳川初代将軍、家康
家康については章立てで説明されているわけではありませんが、この大転換点を生み出した徳川幕府の初代将軍家康については作中でも何度も登場してきます。
そのいわゆる上司であった織田信長も、豊臣秀吉も優秀な武将ではあったと思いますが、徳川家康はそれに加えて有能な文官としての一面も持っていたのでしょうか。受ける印象は2人よりも国の統治に目が向いていた気がします。
当時の都は言うまでもなく西にあったわけで、関東の荒地のど田舎に、いくら親分秀吉のお沙汰とはいえ、よくも全く新たに国を作る決断をしたなと思います。
それをあの江戸へと発展させたのは徳川家康の先見の明があったからか、はたまた何とかなると高をくくっていたのか。恐らく信長だったら、秀吉だったら、もう一回戦争でもして一時の自分の利を取っていたかもしれません。